第545話お互いに騙し合う自分の意志を持った二人

「マチルダ……?」

エミリーの目が、マチルダの姿を捉えた瞬間にぱっと輝いた。

希望に満ちた光だった。

マチルダは冷ややかに応じ、エミリーの額にそっと手を伸ばして熱が下がっているか確かめた。

だがエミリーはその手をつかみ、切迫した声で尋ねた。「ダニエルがあなたを寄こしたのよね? 彼は無事なの? 本当に?」

エミリーに異常がないと確かめると、マチルダはようやく口を開いた。声を落として言う。「ジョンソンさん、スミスさんが私を遣わしました。あなたに、無事だと伝えてほしいそうです」

それが彼女の性格だった――冷たいのだ。

伝言を運ぶにも一切の飾りがない。ダニエルのために一言添えるなど、思い...

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